2007年04月08日

『まつさをな』を観た

演劇集団キャラメルボックス 2007スプリングツアー
『まつさをな』

4月7日(土)〜5月6日(日) サンシャイン劇場
料金(全席指定・税込) 5,500円
http://www.caramelbox.com/stage/matsusawona/index_f.html

「ブログライターご招待」企画により、
演劇集団キャラメルボックス『まつさをな』の初日公演を観てまいりました。
今回は2階席。一般公演日に招待してもらうのでこれもやむなし、でしょうか。

舞台となるのは幕末期の小田原藩。
家老の息子である青柳啓一郎が
旅芸人の一座の中に死んだ姉と瓜二つの娘・千鶴を見つけ、
青柳家の養女として引き取りたいと申し入れることからこの物語は始まりまして。

この千鶴と啓一郎を中心にして
藩政、友情や信頼、そして恋愛などを核としたいくつかの事件が起こるのです。

今回ゲスト出演している劇団☆新感線の粟根まことさんが
この小田原藩のお偉い家老役なのですが、
身体を積極的に使ったユーモラスな表現を多用されていて
威厳たっぷりの筈の家老がものすごく愛嬌のある役に仕上がっていて
それが全体を引き締めているように思いました。

殺陣シーンも勿論あり。傷を負わせたことはこんな風に表現するのね、なんてあたりも楽しいです。

さて、キャラメルボックスの劇を観るのは今回で4回目になるのですが
この劇団の方向性と自分の好みの違いが今回でそろそろ見えてきたかな、と思いました。

その詳細は以下ネタバレで。(フィード取得のひとはちゅういしてね!)


『少年ラヂオ』の時にヒーロー役だった大内さんが今回の憎まれ役、
『少年ラヂオ』の時に憎まれ役だった岡田さんが今回のヒーロー
というあたりがちょっと面白かった。

ん、啓一郎はヒーローじゃないのかな、お姫様なのかな(何

千鶴が家を飛び出す理由は、劇中の台詞じゃ足りないと思うんだ。
りくが「この家にはそんな人間は一人もおりません」と言った、
その一人に一瞬でも当てはまってしまった自分を恥じる思いこそが
千鶴が帰れなくなる理由であるはずだもの。
そこが出てこないから、伏線回収率(何)がダウン。

あと嫉妬・怨恨・逆恨みは個人的には大好き(何)だけど、
他にも書いてる方がおいででしたけど藩政に関する意見の対立も欲しかったかな。
どんでん返しもあるかと思ったら無い、とかもちょっとがっかり。まぁそこは枝葉にして好みか。

そうした微妙な整合性の不足感、
辻褄の合わない細部を合わせず「想い」で埋めてしまう傾向、
あと一歩二歩踏み込んで掘り下げてほしいところでそれをしないところ、等が
どうしても後に残る(プラスの部分で凌駕されてしまわない)と自分の場合思ってしまうので
ああ、求めてるものと違うのかなぁ、と思うのだ。
決してつまらなくはないんだけどね。

『ミス・ダンデライオン』が今まで観た中では
その点で一番矛盾が少なくて伏線回収率が高くて泣かせも強くて良かったなー。

まあ、そんなことを思いつつも
「娘を失うのは一度で十分です」あたりでしっかり泣いてました。
青柳家の面々が皆いいキャラでね。

…『サボテンの花』、観とけばよかったかなぁ。

投稿者 narukami : 2007年04月08日 22:43 | トラックバック
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