2006年05月24日

うにタ(5/24)

宇仁田ゆみ『スキマスキ』を読んでみた。

一読して連想したのは、同じく窃視の物語である
村上春樹『回転木馬のデッドヒート』所収の短編『野球場』だ。

被窃視者が窃視者に近付いてきて切り取られた空間から現実へ侵入してきたときの心情を、
『野球場』は嫌悪感(その根底にあるのは罪悪感であり後ろめたさである)として
徹底的に描いているが
『スキマスキ』においてはあまりそうした角度からの描写は見られない。

自分だけが窃視者と思っているヘイサクが
窃視行為がばれるかばれないかの綱渡りを意識しつつもフミオに惹かれ距離を近付けていく
(ただし実際には窃視行為はバレている上にフミオからもまた窃視されている)という構図は面白いが、
被窃視者が同時に窃視者であるということで
おそらくフミオ側に生じるであろうと考えられる共犯者的な意識や、
被窃視者であると同時に窃視者たることを選択する理由が
あまり突っ込んで描かれていない点に物足りなさを感じた。
非日常であり暗部であるはずのスキマを介して出会った筈の二人の決着としては
アレだけじゃあっけないというか。個人的にはカタルシス不足。

それにしてもこの作品に出てくる女子は全てそれぞれに可愛い。すごい。
あたしゃ華ちゃんが好きですが!!

投稿者 narukami : 2006年05月24日 23:21 | トラックバック
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