2006年03月29日

はじめての柏木ハルコ(3/28)

柏木ハルコ『いぬ』『花園メリーゴーランド』を読んだ。


---ネタバレ?なので未読かつ既に読もうと決めてる人は以下は読まない方がいいかもです---


さて『いぬ』ですが。
一頃あちこちで紹介されてた気がするので噂には聞いたことのある人が多いんじゃないかと。
私もそのくちでした。

愛犬を病気で失ってしまった大学生の女の子が居ました。
彼女結構可愛いくてそれなりに男に不自由してないんですが、
恋愛対象になるようなかっこいい男の子には性欲を持てないたちで。
かといって性欲がないわけではなくむしろありすぎる方だったというか
愛犬が病気になってしまったのもそもそもバター犬として使ってたからという背景があり。
そこで性のはけ口としてさえない男の子に白羽の矢を立てたのだが、
実はさえない男の子は彼女に恋をしていて…ってな話。

まあ設定自体はアリだと思うの。
です。
ですけど。

女の子は一応「こんなこと頼んだら失礼よね」とか考えたりするのだが
その理由がちょっとズレてる。
さえない男の子は「俺のことどう思ってる?」と訊いて「犬かな?」と言われてショック受けたり
それでも「こんなことするってことは俺のこと好きなんだよな??」と甘い望みを持ってたりする。
さすがに男の子の方の認識は徐々に変化していくのだが、女の子の方は大体ずっと変わりなし。


言葉にして語られない部分は各人の中で都合良く解釈され、
思考のすり合わせは行なわれないまま話が展開していく。
しかも殆ど全ての登場人物において、である。
それに一石を投じるかと思わせる人が出てきたと思ったら、結局そうではなかったりとかな。

それでも一見しては恋愛と見なされるであろう手続きを踏んでいたりする。

いわば「新井理恵『タカハシくん優柔不断』に例えれば登場人物が全員萌奈美」状態ですよ。
でもってそれを異常とする視点等は一切描かれない。

コミカルなタッチで描かれてるのに
誰も他人の考えていることなど本当には分かっていないし
分からなくても分かろうとさえ思わなくても幸せになれるのだ、という話に見える。

怖いというかおそろしく不安な心持ちにさせられました。


『花園メリーゴーランド』の方は
乱婚制が習俗として残っているような村に迷い込んでしまった少年の話で、
しかし外部とムラとの間で
価値観を全く異にしながらも心を通わせようとする様が大きなテーマとして描かれてるので
こっちは全く安心して面白く読めるものでした。

なんかある意味もののけ姫っぽいな。

投稿者 narukami : 2006年03月29日 11:59 | トラックバック
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