京極夏彦『嗤う伊右衛門』読了。
これは京極堂シリーズではなくて、
四谷怪談の登場人物を用いた翻案による作品。いや大筋も変えてるかな。
互いを想い合っているのに、そして誰が悪いわけでもないのに
自分を変えることかなわずどうしてもすれ違ってしまう伊右衛門と岩。
というのが描かれています。
そして、伊右衛門にとって良い妻で居られないという苦悩ゆえに身を引く岩。
こういう、"好きだけど想いの成就よりも相手の幸せを願って自分を殺す"
という行動、非常に個人的にツボ。
と、悲しい恋愛譚であったのが最後の二十頁でいきなり京極節。
何故そう来る!?ファンサービス?(何) (´д`;)
京極堂シリーズでいうところの魍魎・姑獲鳥クラスで
ファンの間でもかなり評価の高い作品なのですが、
翻案のあり方ににやりとさせられつつ切ない心理描写に胸打たれる佳作であろうと思います。