2005年09月09日

Q.E.D.(9/9)

Q.E.D.-証明終了-』を読んでいる。
推理モノの1話完結型漫画なのだが、
探偵役は幼くしてMITを卒業した15歳の少年である。

何を思ってか日本に帰国して普通の高校に入学し、変人との呼び名も高い"燈馬想"。
彼が、おせっかいでじゃじゃ馬・正義感が強くて困っている人を放っておけぬ性質であり
刑事の娘でもある"水原可奈"によって毎々事件に首をつっこまされ、
謎ときをしていくといった形で話は語られる。

「マンガだから」で済まされるようなあまりに荒唐無稽な描写はそこには出てこない。
かつ、あくまで筋の通った論理に基づいて全ての事件は解明される。
これは正統派のミステリである。


と、まあ派手さとかはそれほどじゃないんですけど面白いです。
燈馬と可奈の友達以上恋人未満感も見どころ。ていうか可奈が照れてまして。
付き合っているのかと人に訊かれると「付き合ってない」と必ず怒るんですが
コミックス16巻で同じ質問をされた際の燈馬の答えが萌えすぎ。
いや男が読んだらどうなんだろうとかよく考えたらそんなことでいいのか!?とかいろいろ思えども
初読時は「この人を私に下さい」とか思った。(何


燈馬も一見クールに見えつつ気を許した人間に対しては身を呈しても守ろうとする系なので
人情話とか多し。
(しかし誰かを庇う際に「○○はそんなことするような奴じゃない」
とかいうことを決して言い出さないってのが実に理系男子的で良い。)
真実を解明したが為に悲劇があかるみになってしまうケースもあり。

思考にバイアスがかかってるand/or一方向からのみの視点で語られていたために
(読者サイドが)ミスリードを誘発させられるケースとかそれなりに出てくるので、
欲を言えば"登場人物の思考のバイアスが盲点をそして悲劇を生む系"で
もっとひねったやつというか暗い面を深く掘り下げた話というか。が欲しいです。

まあ根が少年漫画なので心理描写は明るく単純にって感じなのかも。
あまりややこしいことはやりません。17巻「いぬほおずき」とかが個人的に微妙なんだけど。
暗い話自体はあるけど描写がさらりとした触れ方なので読後感も悪くならず。

あと、レンブラントが実は弟子の作が混じりまくってるとか
コダーイの無伴奏チェロソナタのチューニングが平常のと違うとか真空管の話とか
雑学・薀蓄系も背景にあれこれ盛り込まれておりこれもまた大変楽しませてくれる。


以下こまい点。

・妹初登場時のエピソードで、こんなに分かりやすい燈馬の性格を
 妹が誤解してたってのがちょっとアレ。近すぎて見えてなかったとかそういう話なんだろうし、
 そもそも燈馬の性格を印象づけるエピソードの一つだからしょうがないけど。
 でも犬の話なんて読んだ瞬間わかるぞ……。

・例えば燈馬が殺人事件の容疑者にされて云々とかも王道ストーリーだと思うんですが
 ここまで人を恨まなそうな性格(及び家族が健在であること)がはっきりしちゃあ
 そういう展開が出てこなそうすぎる。
 (『虹の鏡』では重要参考人にされてたがあれは心配されるだけだったし。
 もっと可奈の認識がぐらぐら揺らされるようなのを希望(何))

・アラン(ソフト会社の社長で、燈馬を引き抜きたがっている)が
 性格が幼稚な上に頭も悪いので出てくるとつまらない。
 お邪魔キャラはそれはそれでいいんだがそれなりの魅力がないと。

・絵柄やキャラ造形がちょっと古いかも。まあそう気になるほどではないのですが
 もしこれが小畑あたりの絵だったらとか想像するとなかなか。


最近ミステリづいてるんですが実はクイーンもクリスティも読んだことがなかったり。
そんな私のミステリの目覚めというのは
黒岩涙香『幽霊塔』とM・ルブランのアルセーヌルパンシリーズ、
そして金田一耕助シリーズの映画『悪魔の手毬唄』なのである。

投稿者 narukami : 2005年09月09日 12:10 | トラックバック
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