『陰摩羅鬼の瑕』読了。
仕掛け自体はそう複雑ではなく、割と序盤からオチが見えている。
少しでも踏み込んで書けばあっさりネタバレになってしまいそうなほど。
それでもこんなにも哀しい話はないと思った。
憑物落としの際に、得心や恐怖ではなく悲劇性のあまりに身を震わせてしまう。
少し違う話になるが
私は『時計仕掛けのオレンジ』を観るとき、どうしようもなく辛く正視に堪えぬ気分を味わってしまう。
それにまつわる嫌な思い出があるというわけではなくて(あるにはあるがそのせいではない)
"過去の罪を贖罪しようとしても許されないという構図"を目にしたところで
過剰に感情移入のスイッチが入ってしまうのだろう。
映画の本筋を考えるならそういう引っかかり方をするものではないだろうに。
少し違う、と書いたのは陰摩羅鬼においてはまさにその哀しさは本題たりうるからなのだが。
京極堂シリーズはいつも後味が悪い、と読んでいく度に思うのだが
これは後味は悪くないのに二度と読み返したくならない。勿論つまらないせいでもなくて。
あとは関口君が鬱すぎ。
他人に情を注ぐということはその相手を憎むことと変わりのないことなのだ。
だから私は妻を心底慈しむことが出来ぬ。
とか言って。(でもここは結構好き)
図書館に鉄鼠がないからいけないんだ!ヽ(`Д´)ノ (榎木津風