| 呪(まじな)い石・II |
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章吾の左手の掌はいつも皮が剥けて真っ赤になっていた。何かの皮膚炎なのだが薬をいろいろ変えても効かないのだという。
章吾とあけみはまだ5歳だった。章吾はその手のせいで、同い年くらいの男の子達からはからかわれたり少しいじめられたりしているようだった。そういうこともあり、また本当に仲が良かったこともあり、章吾とあけみはいつも一緒に遊んでいた。
そんなある日、あけみは友達のお姉さんから、お稲荷様にあるという石の話を聞かされた。
「おねがいごとが、なんでもかなうらしいんだよ」
一人で行くにはお稲荷様は遠い。
(しょうちゃんのてがなおりますように。わたしがかわりになってもいいから、しょうちゃんのてがなおりますように)
あけみが帰ってくると、章吾が家の前に座りこんでいた。
「しょうちゃん」
やがて時が経った。
二人が小学校にあがった頃、新しく使われるようになった薬で章吾の手はきれいに治っていた。
「お前の、手が」
「普段はいいんだけどさ…それで…あれを触られるのだけは、ちょっと」
あけみはゆっくりとその掌に視線を落とし、それから章吾の顔を見ないで、満足そうに笑った。 |