やたら評判がいいらしい『時をかける少女』を観てきた。
まあまあ面白かったのだが、個人的には
絶賛するにはちょいとかゆいとこに手が届かないという感じ。
琴線に触れる部分があるようでないもどかしさ、と言えばいいのか。
男子に対する受け答えが過剰にツンケンしてる感じだとか、
凡庸な自分をそれでも語っちゃうところだとか
(いやそういう演出なんですけどね)は大変に痛恥ずかしく、
なんとはなしに上滑りな感のある主役の声の演技と相俟って
「もー見てらんない」という気分にさせられる、
…という意味で"高校生の描写"が大変によく出来てると思った。
勿論荒唐無稽でリアリズムに欠けるところというのもたくさんあり(SFとしてじゃなくても)
それがまた"気にならないでは済まされない"とも感じたのが実情なのだが、
個人的にはそれでも青春期懐古を呼び起こされるには十分であり。
男2女1の三人組で普段遊んでる、という構成もまたこの手の懐古ネタとして絶妙。
バランスを崩す気がなければ女子にとって大変おいしいこのポジション(何)。
(高校じゃないけどあったぞこういうの、と記憶を手繰ると小学生の頃だった。若すぎ。
にも関わらず先に均衡を破ろうとする側だったので、
"どうしてこのままじゃいられないの?"みたいな感情とは無縁だったのを思い出す。)
あと妹の犬っぷりが萌える。そうなのよ妹って仲の良い兄姉の前には所詮犬なのよ犬。
好き勝手したり時には相手を罵倒したりしつつもいざとなれば服従するのが悦びなんですよ(何
主人公は正直、頭が悪い(よその好意的なレビューでは「能天気」と評される部分)。
しかもその頭の悪さが微妙にリアリティ不足なところがある。
得るものと失うものの重さを天秤にかけて悩むとかそうした部分はない。
ないならないで、それに代わるポジティブさなりなんなりの描写を
もっと徹底してやってほしかったかも。(さらりと、は存在してるので。)
の割にはぼろぼろ泣いてたので「どこがハマったの?」と同行の友人に後から訊かれても
まるで答えかねて「うーんどこだろう」と苦悩。
切れ長ツリ目好きとしては漢字書けなくて数学しかできないとことかとも併せて
千昭はなかなかツボを押してくれるキャラでした。
あと主題歌がかなり良いです。
追記部分でちょいとネタバレ含みの感想派生話を。
恋に落ちる瞬間というのは日常のいろいろな局面に点在していると思うんだけど、
最近の好みとしては、かけ違えたボタンを相手のひとことでそれと気づいて直せたりだとか。
迷っていたことについてきれいに霧を晴らしてもらったりだとか
相手がたとえそれを狙っていてもいなくてもそんな風にうまくはまってしまった瞬間というのがグッと来る。
で、そういう"落ちた"瞬間についての描写が薄いとこもまた微妙に不満だった。
{わたしを,みんなを}守ろうとするあまり自己犠牲してしまう辺りが
ツボにはまるというケースもあるかもしれないのだけど(実はツボではあるし)
真琴がそう思ったかはちょっと見えてこないので、
単に損なわれるものを惜しむ気持ち以上の何かはあったのかしら、という疑問をちょっと感じたり。
どうせなら真琴がもっと普段とか漠然とでも考えてることがあって、
それがあの絵によってジグゾーパズルのピースがはまるように明確になる瞬間とかがあれば。
"この人じゃなくては"と思うに足ると思うの。やーもー完全に趣味の領域ですかこれは?
「俺のバカ」って言うとこがすごく好きで一番泣けた。